スペイン
スペインは世界最大のワイン用ブドウ栽培面積を誇りフランス、イタリアと共に全世界のワインの3割近くを生産する巨大なワイン産地です。
17ある自治州全てでワイン生産が行われており最大の生産地は中央に位置するラ・マンチャ州となります。
イベリア半島の先端、アフリカ大陸に近いという事もあり様々な民族による侵略や征服にあった同国では様々な言語や文化が混ざり合っています。
ワイン造りの発端は紀元前200年頃のローマ人に由来しますが、711年にアフリカ大陸からのムーア人による侵略が始まり一時はイスラム教徒の支配下に置かれた時期もありました。
その後キリスト教徒によりレコンキスタ(国土回復運動)が行われ1492年に国土を取り戻したのち同年にはコロンブスによる新大陸発見がなされ、ワイン業界におけるニューワールドと呼ばれる国々がスペインによって開拓されてゆきました。
エリアにより伝統的な品種を用いたもの、国際品種を取り入れたものまで
様々な多様性のあるワインが生産されているのが大きな魅力です。
ヨーロッパ南部に位置し、一般的には日照量が多くブドウは高い成熟度となる傾向になりますが北西部ガリシア地方のように降雨量が多い地域もあればラ・マンチャのような内陸部は大陸性気候により暑い夏と厳しい冬となるエリアも存在します。
栽培面積の52%が黒ブドウ、48%が白ブドウであり、この52%の黒ブドウのうち21%を占める同国を代表するブドウがテンプラニーリョ種です。
テンプラニーリョ種は伝統的に高品質なワインの原料となり、同国を代表する名城産地であるリオハ地方ではTempranillo(テンプラニーリョ)、ラ・マンチャ地方ではCencibel(センシベル)、リベラ・デル・デュエロ地方ではTinto Fino(ティント・フィノ)、Tinta del Pais(ティンタ・デル・パイス)、カタルーニャ地方ではUll de Llebre(ウル・デ・リュブレ)というように地方により様々な別の名前で伝統的に親しまれています。
他にもガルナッチャやボバル、モナストレルといった暑さと乾燥に強いブドウ品種に加えカベルネ・ソーヴィニョンやシラーなどの国際品種を近年人気が高くなってきています。
白ブドウではアイレン種が最も多く、マカベオ、ヴェルデホ、アルバニーリョといった土着のブドウが黒ブドウに比べると人気が高くなっています。
広大な国内において地中海沿岸の地方ではカヴァとよばれる高品質なスパークリングワイン、北部では伝統的な高級赤ワイン、大西洋沿岸地方ではミネラル感ある白ワイン、南部アンダルシア地方では酒精強化であるシェリー、内陸部では世界最大のテーブルワインなど様々な個性あるワインが造られています。