
ソムリエになるために

ソムリエ朝倉達也です。
久々の投稿になるので、気分転換にソムリエという職業について書いてみようと思います。
これから資格取得を目指す方も、是非参考にして頂けたらと思います。
そもそもソムリエとは?

今でこそ〇〇ソムリエという言葉が出回っていますが
一般的にソムリエはレストランでワインを中心とした給仕をする職業を指します。
フランスではレストランではメートル(給士長)、ソムリエ、シェフドランなど
細かく職務が分かれており、ソムリエは飲料のサービスのみを行うのが一般的なのですがまだ日本ではそういった分担制はほとんどなくサービススタッフはそれぞれ様々な職務を振り分けています。
ソムリエといえばゲストの前でワインを抜栓し、サービスをし、ワインについて色々とゲストと語ったりというイメージが強いかと思いますが実はその華やかな部分はほんの少しの世界であり、地味な仕事が結構多いです。
ミネラルウォーターやジュース類などのワイン以外の飲料の管理、段ボール潰し、空き瓶の片付け、セラーの掃除や棚卸し、買い付けの為の業者とのネゴシエーションなどなど。
もちろんソムリエ業務だけをしておく環境ではないことが多いのでテーブルセッティングや掃除などレストランサービスは意外にやることが多いのです。
私はファインダイニングと呼ばれる高価格帯のレストラン業態に所属していたのでこのような説明になるのですが、もちろんワインバーでもビストロでもソムリエは在籍していますし、業務内容も大なり小なりで似たような感じかと思います。
我が国では一般社団法人日本ソムリエ協会が主催する呼称資格試験を取得するのが
一般的な「ソムリエ」の資格と認知されておりますがソムリエ資格は現場実務が必要なため
一般的な愛好家向けの「ワインエキスパート」やより入門的な「ワイン検定」という資格が存在します。
ソムリエとエキスパートに関しては「エクセレンス」と呼ばれる上級資格が存在します。
ソムリエ資格保持者は2023年1月現在で約4万人と、数だけ見ると日本はソムリエ大国であるかもしれませんが、永久ライセンスであるため、過去に取得したけど現在は従事していない人も少なくはないと考えられます。
ソムリエの存在意義とは?

では飲食店にソムリエはマストかと問われると必ずしもそうではありません。
ワインの知識と接客能力、コミュニケーション能力があればワインを販売することができます。
ですが資格には「安定感」があります。
ソムリエ呼称資格試験は世界のワイン産地から出題がなされますので、広く浅くカヴァーする必要があるので、ある程度の知識の保証はなされるのです。
ワインのことをあまりご存じでない方からすると資格バッジがあるスタッフがいると安心することでしょう。
ですが取得1年目と20年目ではもちろん経験値が違いますし、20年前に取得した方が今の最先端のトレンドを知ってるかというとそうでもありません。
ソムリエの存在意義は、絶えずブラッシュアップされる知識を駆使して、ゲストの満足度を高めて、売り上げという形で結果をつくるのが存在意義であり、使命なのです。
ソムリエとして大事なことは何か?

まず第一に「コミュニケーション能力」に尽きます。
ソムリエはイメージ的にオタクなイメージがありますが(実際そういった職人気質な方も多いです)、基本としては接客業なので、話し方やコミュニケーション能力が最も必要とされます。
もちろんゲスト以外にも同僚やシェフ、仕入れ業者との打ち合わせなど様々なシチュエーションで人と接する機会が多くなるので、コミュニケーション能力は最重要です。
ソムリエの仕事はワインセラーの片付けや棚卸し、試飲会など出席することもあるので他からすると「ソムリエって何してるんだろう?」と思われがちなので仕事を可視化することが他のスタッフからの理解を得るきっかけになります。
コミュニケーション能力の低いソムリエほど、現場から突如いなくなりいつも誰かに探されていることが多いです。皆さまの周りにもそんな人はいませんか?
次に大事な事は、「更新し続ける」ことです。
資格を取れば一安心してしまうのですが、バッジをつけた瞬間にあなたは他からプロとして見られます。ちゃんと情報更新や情報収集を行っていないと「ソムリエなのにそんなことも知らないの?」と思われてしまいます。
実際私もソムリエ資格を取得してから14年間、毎年更新される教本を買って前年度からの追記点や見直しを行っています。
トレンドの先端が海外なのは当たり前ですが、日本ソムリエ協会のソムリエ教本は
世界中のワイン学教本と比べてもお世辞なしに最高峰の情報量であるので、是非みなさま毎年活用頂けたらと思います。
これからソムリエを目指す人へ

これからソムリエを目指す人に心がけてほしいのが「飲む文化普及と教育」です。
私のような昭和世代は上司と仕事後に飲みに行く「ノミュニケーション」が当たり前で、
仕事でミスをして怒られても上司と飲んで、諭されて、また頑張ろうと思ったものです。
それは「飲む」ことで気持ちが緩和され、本音で話すことできたからです。
現在は世界的にアルコール離れが進みつつも、ワインの値段だけが上がってゆき
オールドワールドのクラシカルな産地も若い世代には手を出せない価格になってきました。
オルタナティブ産地も大事ですが、ソムリエを志す以上飲むべきワインもあるはずです。
特に私の少し下の30代前後の世代にワインが普及するようにしてゆかないと
20年後にはワインは本当にお金持ちしか飲めない飲み物になってゆくかもしれません。
そのためにも今のうちに若い世代にワインが普及してゆくようにソムリエは発信すべきなのです。
私もフリーランスとしてソムリエの新しい働き方を発信してゆきながら、
一人でも多くの方にワインを飲む、お酒を飲む楽しさを広めてゆきたいと思います。
みなさまも是非、カーヴドヴァンでお気に入りのワインが見つれば
誰かにシェアしてみてくださいね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ソムリエ 朝倉達也
Sommelier’s Note
記事作成者
朝倉達也について

A.S.I.(国際ソムリエ協会) 認定ソムリエ / J.S.A.(日本ソムリエ協会) 認定ソムリエ・エクセレンス / Court of Master Sommeliers 認定ソムリエ / Napa Valley Wine Japan Expert / WSET Level 3 / 2022年、ソムリエの新しい働き方を広げてゆくべく独立、株式会社La Luneを設立。関西中心にフリーランスとして活動を開始。従来の概念にとらわれずもっと自由な料理とワインのペアリングをみなさまに楽しんで頂くために、独自のメソッドや方法論を日々試行錯誤している。