ワインの世界地図~イタリア中編~

ソムリエズ・ノート

フリーランスのソムリエ朝倉達也です。

「ワインの世界地図」のコーナーは世界の様々なワイン産地を

歴史や風土、文化を交えながら紹介してゆくコーナーです。

今回のワインの世界地図のテーマはイタリア中編です!

非常に幅広い生産国なので一度にその魅力をお伝えするのは難しいので

全3編に分けてその魅力をみなさまにお伝えしてゆければと思います。

では、この魅力ある産地の歴史や様々なトピックを一緒に見ていきましょう!

前編を見ていない方は是非、コチラから!


スタイルとエリア区分

イタリア中部

ローマ、フィレンツェなどイタリアを代表する都市が位置するのが中部イタリアです。

地中海に突き出たイタリア半島の中心にはアペニン山脈が広がり、

東側のアドリア海側、西側のティレニア海側との気候が異なるのが特徴と言えます。

イタリア半島は東西の幅が狭いので、山岳部、丘陵地、沿岸部などで様々なテロワールが存在するもの

中部イタリアの個性なのではないでしょうか。


トスカーナ州

ピエモンテ州と肩を並べる銘醸地として知られるのがトスカーナ州です。

イタリアにブドウ栽培とワイン造りを伝えたといわれるエトルリア人が長く支配をした地でもあります。

ローマ帝国の支配ののち、銀行業として名を馳せたメディチ家がフィレンツェを栄えさせ、13世紀、14世紀のルネッサンスの中心地となってゆきました。

その後はトスカーナ大公国となり、1716年にコジモ3世が世界最初の原産地保護を定めました。

1860年にイタリア王国に参加し、世界大戦を乗り越えたのち高度成長を遂げました。

丘陵地と山岳地で90%近くを占める州であり、内陸部は厳しい気候、沿岸部は温暖な地中海性気候となっています。

赤ワインの生産が9割近くであり、キャンティ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、カルミニャーノなど伝統ある銘柄や「スーパータスカン」と呼ばれる従来のイタリアワイン法のカテゴリ内に収まらず国際品種や近代技術を用いて世界に向けて発信されたプレミアムレンジのワインなどクラシカルとモダンの両方のワイン造りが行われているのも特徴です。

代表的なブドウ品種は黒ブドウはサンジョベーゼ、白ブドウはヴェルナッチャです。


ウンブリア州

海に接してない内陸の小さな州。緑豊かな丘陵地が殆どを占め、修道院が多く見られます。

代表的なワインはオルヴィエートという白ワインで昔は甘口でしたが現在は辛口に仕立てられています。

ブドウ品種は黒ブドウではサグランティーノ、白ブドウはグレケット、プロカニコが挙げられます。



マルケ州

古代より港町として栄えたアンコーナでの漁業が盛んな州。アンコーナの南の丘陵地帯で造られるコーネロと呼ばれる赤ワインや、果実味とミネラル感に富んだ味わいのヴェルディッキオ種から造られるワインが有名。

代表するブドウ品種は黒ブドウはモンテプルチャーノ、白ブドウはヴェルディッキオやビアンケッロ、ペコリーノなどが挙げられます。


ラツィオ州

イタリア中央に位置し6つの州と隣接する州。州都ローマはイタリア共和国の首都でもあります。

ローマは古代ローマ帝国時代から歴史、文化、宗教すべての中心地でした。

火山性土壌が多く典型的な地中海性気候で気候に恵まれており、ブドウ栽培に適しています。

フラスカーティやエスト!エスト!!エスト!!!という軽快な飲み口の辛口白ワインが有名です。

代表する黒ブドウ品種は土着品種であるチェザネーゼ、白ブドウはマルヴァジア、トレッビアーノなどです。

モリーゼ州

アブルッツォから分離された州であり、人口も2番目に少ない小さな州。

赤ワインの生産が多く、この州の固有品種である黒ブドウのティンティリアより果実味豊かでスパイシーな赤ワインが造られます。白ブドウでは他の州と同じくトレッビアーノ、ペコリーノなどが栽培されています。


まとめ

ローマの街並み

いかがでしたでしょうか?

イタリア中部は山脈の影響により様々なテロワールが存在するのが特徴です。

沿岸部では爽やかな味わいのもの、内陸に向かうと標高が高くなり熟度が高いブドウが栽培されると覚えておくとよいでしょう。

州ごとに造られるワインの比率や代表するブドウ品種を覚えることでよりカテゴライズしていきやすいかもしれませんね。

3編に渡ったイタリアワインも次回で最終回となります。

ワインはあれこれ学ぶのも良いのですが、まずは自分のお気に入りを見つけるのが

一番の上達への近道だと言えます。

是非あなたのお気に入りをカーヴドヴァンオンラインで見つけてみてくださいね!

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

ソムリエ

朝倉達也



朝倉達也
朝倉達也
A.S.I.(国際ソムリエ協会) 認定ソムリエ / J.S.A.(日本ソムリエ協会) 認定ソムリエ・エクセレンス / Court of Master Sommeliers 認定ソムリエ / Napa Valley Wine Japan Expert / WSET Level 3 / 2022年、ソムリエの新しい働き方を広げてゆくべく独立、株式会社La Luneを設立。関西中心にフリーランスとして活動を開始。従来の概念にとらわれずもっと自由な料理とワインのペアリングをみなさまに楽しんで頂くために、独自のメソッドや方法論を日々試行錯誤している。

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