
ワイン造り ~ワインはどうやってできる?~

「ワイン造り」の回では栽培や醸造においてのイロハをご紹介してゆこうと思います。
初回である今回は基本中の基本である「ワインはどうやってできるのか?」に
フォーカスしてご案内してゆこうと思います。
ワインは醸造酒
世界中の全てのアルコール飲料は醸造酒、蒸留酒、混成酒の3つに分類されます。
醸造酒:酵母の働きによってアルコールを生成するタイプ~ワイン、ビール、日本酒など。
蒸留酒:素材を加熱蒸留し、気化したアルコール成分を再度冷却し液体化したもの~スピリッツ、ウイスキーなど。
混成酒:様々な種類をブレンドしたもの~リキュール、ヴェルモットなど。
ワインはブドウの糖分を酵母が餌にしてその副産物としてアルコールと二酸化炭素を
発生させることにより、ブドウジュースをワインへと変えてゆきます。
そして実は全てのフルーツの中でも自身の糖分のみでアルコール発酵を行うことが可能な
フルーツはブドウだけなのです。他のフルーツでは糖分が足りないのでできません。
ですのでワイン造りにおいてのブドウは非常に重要な意味を持つのです。
ワインの種類
ご存じの通りワインには様々な種類があります。
大まかに説明してゆきましょう。
スティルワイン:非発泡性のもの~一般的なワイン。
スパークリングワイン:ガス圧を含み、発泡しているもの~シャンパーニュ、カヴァなど。
フォーティファイドワイン:醸造過程の様々なタイミングでアルコールを添加して風味や保存性を高めた(酒精強化した)もの~シェリー、マデイラなど。
フレーヴァードワイン:ワインに香りをつけたもの~リレなど。
そしてこの分類のもとに赤ワイン、白ワインなどが存在してゆくわけです。
ワインの造り方
それでは、各セクションは今後ひとつずつフォーカスしてゆきますので今回は
ザックリと一般的なワイン毎の造り方を紹介してゆきます。
白ワイン:ブドウジュースのみを発酵させて造る。
赤ワイン:ブドウジュースに果皮や種子を浸漬しながら発酵を行う。
ロゼワイン:赤ワイン的アプローチ、白ワイン的アプローチどちらでも造れる。(詳細は次回以降)
以上に加えてここ数年盛り上がりを見せているのがオレンジワインと呼ばれるワインです。
オレンジワインはワイン発祥の地と呼ばれる東欧のジョージアにて伝統的に造られており、
現地ではアンバー(琥珀)ワインと呼ばれていました。
オレンジワインは白ブドウを原料とし、赤ワイン作りの工程を経てつくられます。
つまり、白ブドウのジュースに皮と種(時には茎)を漬け込んで発酵させることにより
白ワインのフレッシュさに果皮や種子由来のタンニンを加えることができます。
それによりワインは微かなオレンジ色を帯びるのです。
つまりは白ワインの醸造テクニックの延長であると言えるのですが、
果皮や種子を漬け込んだらオレンジと言えるという定義であることから
漬け込み期間が3時間でも1週間でも1年でもオレンジワインと呼ぶことが可能になるわけです。
オレンジワインと言っても外観の色合いは様々なのです。面白いですね。
発酵が行われた後のワインはタンクや樽などで熟成をさせたのち、
酵母の死骸である澱(おり)を除去したり分子的に安定させるためにフィルターにかけたり
清澄剤を用いてクリアーな状態にし、ボトリングされます。
一部の生産者はフィルターにかけずに瓶詰をします。自然派ワインに多い傾向ですね。
ワインの味わい
先ほど紹介した通り、白ワインはジュースのみ、赤ワイン、ロゼワイン、オレンジワインはジュースと
果皮や種子が原料になっているという点から以下のように大きく味わいが分類できます。
白ワイン:酸味が味わいの特徴となり、シンプル。
赤ワイン:渋味が加わり、複雑になる。
ロゼ:白と赤の中間的な味わい。
オレンジ:漬け込み期間にもよるが渋味と複雑性が強い。
このことから、白ワインはシンプルな構成のお皿、素材を楽しむお皿に向いてますし
赤ワインは複雑味のあるものや色の濃いものと相性が良いです。
ロゼワインやオレンジワインはそのいいとこ取りといった印象で
料理に対する幅の広さはとても魅力的で、常に1本は家に常備しておくことをお勧めします。
まとめ

次回以降は毎回異なるジャンルのワイン造りにフォーカスして
その過程や醸造におけるテクニックやオプションなどを紹介してゆけたらと思います。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
Sommelier’s Note
記事作成者
朝倉達也について

A.S.I.(国際ソムリエ協会) 認定ソムリエ / J.S.A.(日本ソムリエ協会) 認定ソムリエ・エクセレンス / Court of Master Sommeliers 認定ソムリエ / Napa Valley Wine Japan Expert / WSET Level 3 / 2022年、ソムリエの新しい働き方を広げてゆくべく独立、株式会社La Luneを設立。関西中心にフリーランスとして活動を開始。従来の概念にとらわれずもっと自由な料理とワインのペアリングをみなさまに楽しんで頂くために、独自のメソッドや方法論を日々試行錯誤している。