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ワイン造り ~スパークリングワインの造り方~


ワインの世界は非常に幅広く、一概にワインといっても白ワイン、赤ワイン、ロゼワインと様々な種類があり最近ではオレンジ(アンバー)ワインも市場には定着しつつあります。

その他には酒精強化ワインやフレーヴァードワイン、はたまた黄色ワインや灰色ワイン、藁ワインといったマニアックなジャンルもあるのが奥深いワインの世界。

この「ワイン造り」の回では様々なタイプのワイン造りのイロハを紹介してゆきます。


今回のテーマは「スパークリングワインの造り方」です。

ビールを好む我々日本人にはとても馴染みがあり、スパークリングワインが苦手な方を探す方が難しいのでは、、という位ポピュラーなジャンルですね。

基本的に辛口で様々な料理に合わすことができますし、プレゼントにしてまず間違いがないという魅力もあるのがスパークリングワインの強みです。

今回はこのスパークリングワインがどのようにして造られるかを辿ってみましょう。

原料となるベースワインを基に炭酸ガスを発生させる手段を選ぶ

全てのスパークリングワインにはベースワインと呼ばれる原料となるワインがあります。

このベースワインは通常ワインとして飲んでも魅力的なものではなく、酸味が強くて控えめな味わいであることが多いです。

伝統的な製造方法で造られるシャンパーニュ地方のスパークリングワインは数十年分のベースワインをストックしておき、それを絶妙にブレンドすることでそのメーカーのスタイルに沿った味わいに仕立てるのです。

このブレンドの作業は非常に重要で、各メーカーには熟練されたブレンダーが存在します。

さて、それではどのような方法で炭酸ガスを発生させるのでしょうか?

①伝統的製法

シャンパーニュ方式と呼ばれる瓶内二次発酵がこの方法です。

まずは一次発酵を終えたベースワインをブレンドしてそのメーカーが表現したい味わいの基を作ったのち瓶詰を行い、炭酸ガスを発生させるために砂糖と酵母を瓶に詰めたのち栓をします。これにより瓶の中で2回目の発酵(二次発酵)が行われます。

前回のワイン造りの回でも述べましたが酵母は糖分をエネルギーとして、それを消費することで炭酸ガスとアルコールが発生します。

密閉された瓶の中で発酵が行われると炭酸ガスは逃げ場を無くし、再度液体の中に溶け込んでしまうのです。これが瓶内二次発酵のカラクリです。

発酵の役目を終えた酵母の死骸は澱(おり)と呼ばれ、アミノ酸などを含有しておりこの澱と共に熟成させることでワインは複雑な味わいを帯びてゆきます。

一般的なシャンパーニュは最低15か月は熟成をさせないと出荷できない規定があるのでこの期間を経ることでシャンパーニュには独特の旨味と香ばしい香りが生まれます。

一般的にはナッツやブリオッシュのような香りです。

その後この澱は徐々に瓶口を傾ける装置によって瓶口に集められ、液体窒素によって凍結させたのち取り除かれ、再度打栓が行われます。


伝統的製法のメリットは瓶内で炭酸を発生させることでよりきめ細かい泡を作り出せるということや先述したような香ばしい香りと味わいが生まれるという点です。

その代わり製造過程は複雑で出荷まで時間がかかる為、コストと現金化するまでの期間が膨大にかかるのがデメリットであると言えます。

伝統的製法で造られるスパークリングワインはフランスではシャンパーニュ、スペインではカヴァ、イタリアではフランチャコルタ、ドイツではゼクトと呼ばれます。

②トランスファー方式

この方式は二次発酵と熟成までを瓶内で行うのは伝統的製法と同じですが

その後一度大きなタンクにワインを移し替えて一気に澱引き、濾過したのち瓶詰めします。 この方法により澱引きの手間やかかる時間、コストを抑える事が可能となります。

③シャルマ方式

この方法は大量生産するスパークリングワインに適した方法です。

圧力タンク内に大量に貯蔵されたベースワインを用意し、これに酵母と糖分を加えてタンク内で二次発酵を行い、5気圧に達したところでワインを-5℃まで冷却して酵母の活動を止め発酵を停止させます。

その清澄濾過を行い、ボトリングされます。

この方法ではコストや手間を抑える事が可能ではあるが、通常のワインに炭酸を加えたようなバラつきのある泡立ちであったり、瓶内二次発酵のような香ばしい香りが存在はせず、あくまでも工業的になってしまう可能性が高い。

それでも価格としては魅力的なものもあるというのも事実でしょう。

④炭酸ガス注入式

単純に炭酸ガスをタンクに注入する、もしくは瓶に注入するという最も安価で耐久性のない方法。少なくとも私は日本国内でこの方式のスパークリングワインは市場では見た経験がありません。

⑤田舎方式

これは現在自然派ワインのカテゴリでペティヤン・ナチュラル(ペットナット)と呼ばれるジャンルで息を吹き返した昔ながらの製法です。

若い発酵途中の糖分が全てアルコールに変換される前の段階のワインを瓶詰し、瓶の中で発酵をさせて二酸化炭素を発生させるというものです。

一般的にコルクと留め金の代わりに王冠キャップで打栓されてる場合が多く発泡性は緩やかで濁りがあるのも特徴です。

まとめ

以上が一般的なスパークリングワインの造り方です。

全てベースワインを基として、どの場所で炭酸ガスを発生させ、熟成させ、濾過して瓶詰するのかという違いですね。

伝統製法は熟成期間の規定も定められているのが多く、シャルマ方式や田舎方式になるにつれ規則は緩くなっていくというイメージでしょうか。

本当は私も毎日シャンパーニュが飲みたいのは山々ですが、普段の日常は軽めのものを、特別な日にはシャンパーニュといった風に飲み分けをしています。

皆さまも是非これからはスパークリングワインを手に取って楽しまれる際には

どの製法なのか?を気にしてみると面白いと思いますよ。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

Sommelier’s Note

記事作成者

朝倉達也について

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A.S.I.(国際ソムリエ協会) 認定ソムリエ / J.S.A.(日本ソムリエ協会) 認定ソムリエ・エクセレンス / Court of Master Sommeliers 認定ソムリエ / Napa Valley Wine Japan Expert / WSET Level 3 / 2022年、ソムリエの新しい働き方を広げてゆくべく独立、株式会社La Luneを設立。関西中心にフリーランスとして活動を開始。従来の概念にとらわれずもっと自由な料理とワインのペアリングをみなさまに楽しんで頂くために、独自のメソッドや方法論を日々試行錯誤している。