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皇帝たちが愛したワイン
ロバートヴァイル醸造所は1868年、パリのソルボンヌ大学でドイツ学教授をしていたドクター・R・ヴァイルがワイン造りを開始、1875年にドイツ・ラインガウ地域のキートリッヒ村に創設。中世以降の修道院を
中心として発展したドイツワイン史の中では比較的歴史の浅い醸造所だが、創設後ほど無く一躍名声を博しました。ドイツ皇帝ヴィルヘルムII世(在位1888〜1918年)が、
ヴァイルの産した1893年ものの“グレーフェンベルガーアウスレーゼ”をこよなく愛し、皇帝主催の正餐会のメニューには、赤の最高峰であるシャトー・ラフィットやラトゥール、ムートン等と並んで、
白はヴァイルの名が記されていたほど。また1900年には、オーストリアのフランツ=ヨーゼフI世の宮廷が、同じ1893年産“グレーフェンベルガーアウスレーゼ”を一度に800本、
13,000マルク(推定約2,400万円)という高値で買い上げた旨が記録に残っています。1988年サントリーが経営を引き継ぎ、新生ヴァイルがスタートしました。
まず所有畑を18haから90haに拡張、畝幅を広げて新植を順次行い、しかも収量を大幅に制限し(例えばグレーフェンベルグ畑では、ドイツの平均収量の半分以下である40hl/haまで落として)高い品質を確保。
また醸造面では、温度コントロール装置付きステンレスタンクを採用、畑ごとの個性あふれるワインを別々に仕込むため、貴腐ワイン用の超小型タンクにはじまる各種のサイズを導入しました。
更には、収穫が非常に困難だといわれる貴腐ワインのトロッケンベーレンアウスレーゼなどの収穫に敢えて挑戦し、それ以降毎年成功という偉業を更新しています。
こうした革新により、今日ロバートヴァイル醸造所はドイツ最高の醸造所として名声を確立し、いまや世界のファインワインファンの垂涎の的となっています。