タグ

サントリーのワインショップ <カーヴ・ド・ヴァン> TOP BLOG ワインの雑学 ワインと仲良くなるためには?

ワインと仲良くなるためには?

突然ですが、皆さまはワインと仲良くできていますか?

ワインに興味はあるけれどちょっと近づき難い、、、という方も多いはず。

それもそうです。今でもワインという飲み物は先入観であったり「難しい」という

レッテルを一部の方は貼っておられる方も多いかと思います。

ひと昔前までは

「ドイツワインは甘い」

「赤ワインは渋い方が美味しい」「安いワインは二日酔いする」

「ヴィンテージ物の方が美味しい」など様々な都市伝説がありました。

このような先入観により人々は飲んでもいないのに、ワインはちょっと、、、

という風になってゆくわけです。

この先入観のおかげで一部の人はワインに出会うチャンスを逃してしまうわけなのですね。

このコラムを読まれてる皆さまはある程度ワインについての見識、興味がおありでしょうから皆さまの周りに先述のような認識をワインに対して持たれてる方がいらしたと想定して、どう説明すれば納得していただけるかを検証してみましょう。

ドイツワインは甘い

ブドウの生育が可能なエリアは年間平均気温10~20℃、年間降雨量500~900㎜、
1年のうち気温のサイクル=四季があるほうが望ましく、それを満たすのは

北半球では北緯30度から50度、南半球では南緯30度から50度とされております。

ドイツは欧州のワイン生産地のなかではその最も北限にあたる北緯47~52度に位置します。

そのためブドウは完熟に達する事ができず、高い酸味を持ちます。

その為、酸味とのバランスをとるために糖分を残すスタイルを選ぶのが一説。

もう一説はブドウ収穫後の発酵中に寒い冬が訪れ、温度の低下に伴い酵母が発酵活動を停止し、発酵に使われるはずであったブドウの中の糖分が残留し、アルコール度数が上昇せず糖分を残して発酵が完了する経緯もあります。

そのため、ドイツワインは甘くて低アルコールというイメージになるわけです。

しかし現在では気候変動によりドイツも平均気温が上昇し、ブドウは完熟し完全に辛口に

発酵することが可能となったため、ドイツにおける生産のうち約70%が辛口かオフドライの味わいとなっています。

赤ワインは渋い方が美味しい

これは完全に好みの話なので検証どころではないのですが、大衆の飲み物といえばビールやハイボール、酎ハイなので求めるのは「喉越し」だと思われます。

なのでワインを飲む際には「喉越しとは違う何か」を求めてしまうのかもしれませんね。

安いワインは二日酔いする

よくある都市伝説ですね。逆説でいうと「高いワインは酔わない」なのですが

これもよく言われる話でしょう。

ワインはアルコール度数平均12~14%の飲み物です。

ビールは5%、チューハイでも8%ですからその倍近くの度数です。

安いカジュアルなワインで口当たりよい味わいだとついつい飲んでしまい、結果飲みすぎてしまいます。

反対に「高いワイン」という前情報があると有難いという精神が頭の片隅にどうしてもあるのでチョコチョコ飲んでしまいますよね。

酸化防止剤が入ると、、、と諸説ありますが自分のキャパより飲みすぎると二日酔いする。

ただそれだけのとてもシンプルな話です。

ヴィンテージ物の方が美味しい

厳密にいうとワインは各国のワイン法によりラベル表記が定められており

ワインによってはヴィンテージ表記が可能なもの、不要のものがあります。

表記が可能なものは「ヴィンテージワイン」になるのでこれは美味しさというより

「ブドウの収穫年が明確である」という証明になるだけで味わいとは直結しません。

そうすると表題のような事を仰られる方は正確に言うと

「古いヴィンテージの方が美味しい」という意味合いになるのでしょう。

私自身では今現在購入する事のできるワインは95%近くは今飲んで美味しいものだと思っています。

熟成をさせることで味わいが統合してゆくワインは一部の地域のものが多く

ほとんどのワインは今購入及び消費をしてキャッシュフローを回してゆくために生産されていることが多いのではないでしょうか。

いずれにせよ飲み頃のタイミングは開けてみてこそなので、これも都市伝説でしょう。

まとめ

このような事から1つめのケース以外はほぼ主観が入っていることがお分かりになったでしょう。

大事なことは、飲んでもないのに決めつけないことです。

周りの評価は良くないけど、自分は気に入った。

そんな人やお店、商品などはありませんか?

日本人は他人と同じ意見であることで、落ち着くという性質があります。

先入観を持ち、色眼鏡を掛けてしまうと見えるはずだったものも見えなくなってしまいます。

ワインと仲良くなり、新しい知見を広げるためにはオープンマインドな気持ちが必要です。

皆さまにとって、お気に入りの1本が見つかる手助けになるように

今後も様々なワインについての小話を寄稿していこうと思います。

Sommelier’s Note

記事作成者

朝倉達也について

アバター画像

A.S.I.(国際ソムリエ協会) 認定ソムリエ / J.S.A.(日本ソムリエ協会) 認定ソムリエ・エクセレンス / Court of Master Sommeliers 認定ソムリエ / Napa Valley Wine Japan Expert / WSET Level 3 / 2022年、ソムリエの新しい働き方を広げてゆくべく独立、株式会社La Luneを設立。関西中心にフリーランスとして活動を開始。従来の概念にとらわれずもっと自由な料理とワインのペアリングをみなさまに楽しんで頂くために、独自のメソッドや方法論を日々試行錯誤している。